函館鍼灸マッサージ師会 研修会・「はきマの日」イベント開催

長谷川尚哉氏を講師に研修会~鍼灸マッサージ師と医療との連携を講演~

函館鍼灸マッサージ師会が8月21日、長谷川尚哉氏を招いて研修会を開いた。大磯治療院院長でもある長谷川氏は、鍼灸マッサージ師として住民の健康保持と増進に当たるだけでなく、鍼灸マッサージ師と医療機関との病鍼連携に力を注いでいる。

折から函館・道南地区では、全国に先駆けて国家資格者である鍼・灸・マッサージ師による北海道初の連携組織「函館鍼灸マッサージ師連携会」が発足。地域包括ケアシステムに医療・介護の多職種との連携への参加を目指している。
同連携会は今回の研修会を後援したが、長谷川氏は函館を中心に地域医療連携の先進的な枠づくりができたと連携会の設立を評価するとともに、その講演のなかで医療連携を進めるための具体的なアドバイスを話した。

「ターミナルケアの領域でモルヒネ以外に疼痛を緩和させる方法として注目されているのがマッサージやはり灸。特にはり」と話す長谷川氏は、「はり・灸マッサージ師が、在宅医療の枠の中で緩和ケアチームの一員として、訪問診療した患者さんの状態を電子カルテのようなもので共有し、後から訪問してくるチームの人に伝える」と、自らが考える医療連携の在り方を紹介。
函館鍼灸マッサージ師会には、今後5年くらいをかけ、早期発見推進年間プログラムをつくり、患者さんをがん検診に送って欲しい。そして胃がん、肺がん、大腸がんの早期発見促進プログラムとして、検診により病院で早期治療の実績を上げることと話す長谷川氏は、「これがわれわれの医療連携への入り口、土俵に入るための最初の手段だと僕は思っています」と説明した。

repo_hakimaevent_02さらに長谷川氏は、「鍼灸マッサージ師が予防医学の枠のなかで、働くべきところとは、家族歴など遺伝的要素をみつけたら、健康診断、検診を行っていただくように誘うという事。次に飲酒や喫煙などの生活習慣な要素があれば、それによって発生するであろう肺炎や肺がんなどのリスクファクターを減らすようにする。つまり、検診に送っていただくだけで、連携はスタートします」と強調した。

「僕らは患者様の喜びの言葉によって成長させられます。多くは愁訴が先生のお陰で良くなりましたというものです。数十年の間の施術者人生の中で出会った人たちの健康の増進に関与するのと同時に、患者さんが、がんなどの疾患に罹患しても、お亡くなりなるのを防ぐための方法論を考える。そして自分が臨床家としての限界を感じた時には後進に託す」と、長谷川氏は次世代への継承の重要性を話しながら、「早期発見は患者さんのみならず、患者さんのご家族、ご子息のクオリティオブライフの向上につながる」との言葉で講演を結んだ。

repo_hakimaevent_01長谷川尚哉氏のプロフィール:1962年札幌市生まれ。(株)ソクラー・テクノス代表取締役・大磯治療院院長。神奈川衛生学園専門学校非常勤講師。一般社団法人・日本東洋医学系物理療法学会理事。平成9年大磯治療院開院。鍼灸マッサージ師が医療機関と連携する「病鍼連携神奈川」の代表世話人を務める。鍼灸マッサージ師としては、とうめい厚木クリニック統合医療療法科でも施術を担当。多数の著作と研究発表がある。

「第2回 はきマの日」イベント開催~無料体験や進化する「はり・きゅう」の治療法の紹介も~

repo_hakimaevent_03
講演や無料体験など盛りだくさんのイベント

函館鍼灸マッサージ師会が8月7日、函館蔦屋書店で、はり灸マッサージの3療術をPRするイベント『はきマの日』を開催した。
このイベントは、8月9日の「はきマ(はり・きゅう・マッサージ)の日」に因んで行っているもので、同会では例年街頭PR活動などを行っていたが、「無料体験」などを通し、はきマの3療術への理解と興味を深めてもらおうと昨年第1回のイベントを開催、今回が2回目となった。
イベント会場では、訪れた人たちに同会会員が、はりやマッサージを無料で体験してもらったほか、今回のイベントを後援した函館鍼灸マッサージ師連携会の益井会長が「在宅医療の中での鍼灸マッサージ」と題して講演。鍼灸マッサージ師は国家資格者であり、その確かな技術は、在宅医療の分野でも、今後さらにその必要性が高まると説明。
また、濱田先生による新しい灸である「水素灸」の紹介や臼井先生によるペットのためのお灸やマッサージ、宍戸先生による「小児はり」、三浦先生による「美顔はり」など、長い歴史を持つ、はり・灸の療術が、進化していることが紹介され、会場を訪れた人が熱心に耳を傾けていた。

repo_hakimaevent_04