 |
函館市を含む道南圏には、診療科目のひとつして矯正を行なっている歯科はあっても、いわゆる虫歯や歯周病、口腔内の外科などの治療を一切行なわずに、歯列矯正だけを専門に治療するのは「ふるた矯正歯科」のみである。
今回ご紹介する古田先生は、もともと医学や生物学に興味があったという。歯科医療の科目の中でも、通常の歯科治療とはそのアプローチがまったく異なり、生物学や解剖学を総合的に捉えた上で治療にあたる「矯正学」に強く興味を持ち、専門的に学んだ。 |

歯列矯正とは、親から譲り受ける遺伝的要因や指しゃぶりや舌の悪い癖、むし歯などの環境的要因で不自然な位置になった歯やあごを整えて、美しい歯並びや正しいかみ合わせにすること。直接歯に接着した装置や患者自身が取り外しできる装置を使って、歯やあごを動かし治療を行う。
「たとえば、歯が重なっていたり、かみ合わない歯があると、歯垢がたまりやすい上に歯磨きがしにくく、虫歯や歯周病にかかりやすくなります。また、かみ合わせが悪いことで、あごの関節や筋肉が痛くなったり、発音にも影響するケースもあります。成長期の場合ですと、バランスが崩れて顔が左右対称でなくなることもあるんです。歯列矯正はそうした正しい歯並び、かみ合わせに整えることで、食べ物をしっかりと噛め、消化機能にもよい影響を与えます。歯列矯正は、いわゆる美容歯科とは違い、見た目に美しくなるだけではなく健康や機能の増進を図ることにもつながるんです」(古田先生)。
|

ふるた矯正歯科の場合、まずは患者さんからの相談を受け付けている。患者さんの持つ治療に関する疑問点や不安に対するカウンセリングを行なう。納得し治療を希望すると、基本的な検査に入る。さまざまな角度からレントゲン写真を撮影し、歯型を取り、虫歯になりやすいかどうかなど、歯やあごの状態を検査する。こうした総合的な問診や診査の上、得られたデータを分析し、どこに問題があり、どのように治療を進めるのが最良かを判断する。歯列矯正治療では、このデータに基づいた緻密で的確な診断が、治療の成功を左右する。矯正を専門としているか否か、さらには専門医それぞれが持つ知識や技術に差がでるところだ。
古田先生の場合、まずは基本検査で行なったレントゲン写真をトレースし、コンピュータ解析を行い、かみ合わせの良いひとの標準値と比較検討します。そして、さらに細かい分析を加え、綿密に治療方針を立てていく。
分析から治療方針が決まった時点で治療期間や使用する装置の種類、費用などが具体的に決まる。その後、重要なのが患者の同意だ。どんな治療にも同じく言えるが、医師の診断、治療方針に従って、患者もまた共に「治す」という意志が必要となる。詳細な分析結果を患者さんに示した上で、ひとつひとつ時間をかけて説明をしていく。こうした説明に対し、患者さんの同意が得られた上で、はじめて矯正装置を付けた治療が始まる。症状にもよるが、月に一回程度、調整のための通院を続け、最低でも1〜2年という長い時間をかけて治療は行なわれる。この装置を使った一定期間の治療後も、ほぼ治療期間と同じ日数をかけて「保定(ほてい)」という、さらに安定させるための期間をもうける。
「なるべく目立たない(見えない)装置を用いていますが、装置に慣れるまでは、若干の痛みや食べにくさを伴います。ちょうどかための珍味が歯に挟まってなかなか取れず、噛んだ時に違和感があるような感じといいますか…。矯正装置(ブラケットやワイヤー)はどんどん技術が進んで新しい素材のものが出てきてはいるんですが、現時点では、ある程度の痛みや違和感というのは避けられないんです。歯が動きやすい成長過程のお子様ですと痛みは少なく、違和感に対する慣れも早いですが、大人の場合は一週間も違和感が残るという方もいらっしゃいますし、いつまでもわずらわしさに慣れないといったケースも稀にありますね。そういう意味でも、治療を始める前も始めた後も、やはり患者さんの理解、そして同意、『一緒に治していきましょう』という意思が大事なんです。」
|

矯正治療の場合、保険が適用されないため「高額なのでは?
いくらかかるの? 」と治療費に対する不審や不安をよく聞く。ふるた矯正歯科では、こうした不安に対しても、初期の段階で丁寧に患者さんに説明をするという。矯正治療の場合、その費用は症状に応じて見積もられるので一概には言えないが、軽度なものなら20万円台から、むずかしい治療になると80万円を越す治療費がかかる場合もあるという。
歯列矯正に関する情報や知識をまったくもたずに相談で来院された患者さんの場合、具体的に治療期間、使用する装置や費用にいたる説明を受けると「絶対にやらなくてはいけないものなのでしょうか?
」と二の足を踏む人もいるそうだ。
歯列矯正の場合は、直接的な痛みを伴って来院するというケースは稀で、あきらかに見た目に気になる歯並びやかみ合わせといったケース、虫歯治療の際に「矯正したほうがいいでしょう」とかかりつけの歯科医からのアドバイスを受けて紹介・来院する場合などがほとんどだという。矯正が必要な症状でも、生活に支障がなければそのまま放置されることも多いという。
「矯正治療については、もちろんかならずしも『しなくてはならない』ということはないと思います。わたしは患者さんに治療をおしつけることは苦手ですし、症状に対しての過大な表現もできないですね。でも、専門医として、矯正をすることによる予防的な意味合いについてはくわしく説明をします。矯正が必要とされる症状をそのまま放置しておくことは、病気の原因や引き金になってしまうこともありますから」と古田先生は話す。
|

矯正治療に適した時期は人により異なるが、あごの成長や歯の生え変わりが激しい小学低学年までには専門医に見てもらうのが良いと言われている。もちろん、30代、40代ぐらいの大人の方でも、全身疾患を持たない健康な方で、歯茎に病気がなければ、治療にあたれるという。実際、ふるた矯正歯科でも、約4分の1が成人の患者さんだそうだ。
「今診ているお子様の患者さんでも、成長が終われば、今度は老化が始まります。中高生の時期を過ぎると肌が衰えると言われますが、データ的には、あごの骨や内側の舌も、徐々に大きくなってきてると言われています。人間のカラダは常に変化しているんですよ。歯並びもまた、内側と外側の力のバランスで並ぶので、それが崩れると変化してきます。特に矯正治療を受けた患者さんの場合、通常歯並びが自然に形作られる期間と比較して短期で歯並びを作るので変化しやすく、その後のメンテナンスが必要となるんです。たとえ20〜30歳まではきれいな歯並びの方でも、40代50代となってくると歯並びが不揃いになってくるというケースもありますから」そのためにも、日頃からの自己チェックとかかりつけの歯科医院における定期的なケアとチェックが大切だと言う。
「よく小さい頃に矯正をすると虫歯になりやすいと言われたりしますが、逆に何も自分のお口の中に意識を持たないお子さんよりも歯磨きに熱心となり、歯の大切さに目覚めるお子さんもいるんです。早くからこういう意識を持ち、むし歯予防や歯周病予防に努めることは大変重要なことだと思います。」
ふるた矯正歯科では、ひとりの患者に対し、分析にかける時間、そしてカウンセリングのための時間を多く割いている。
診療時間が月・火曜の休診日を除いて、午後から夜間(19時まで)にかけの時間が設定されていることや、土・日曜日には午前から診療しているのは、こうした配慮からだ。
|