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八木原一英先生は、現在の美原に病院を構えてから今年で15年目。それ以前には上肢とスポーツ外傷を専門に函館中央病院で6年間勤務していた。現在は開業のドクターと協力関係を結ぶ「オープンベッド」体制を築いており、必要のある患者さんはそちらに入院させてもらい、施設を借りた上で手術の執刀も自ら行っている。
もともと上肢(肩や肘)を専門にしているとのことで、それらの代表的な症例と治療法を聞いた。 |
 
五十肩とよく言われますが、一般的にはどういう病態なのかよく知られておらず、肩が動きにくくなったりしても年齢的なものだとあきらめている方が多いようです。
これまで五十肩についてははっきりした病態が不明であると言われてきましたが、最近の研究ではほとんどが「腱板」という肩の大事な組織に小さな傷が付いたり、炎症が起きたりしている状態がきっかけになることがわかってきました。腱板とは、肩に関連する筋肉の中でもっとも主要な役割を持つ筋肉です。
ほとんどの方は痛みから症状がはじまりますが、ケガなどはっきりしたきっかけがないことが多いので、 患者さん自身もいつからなったかを特定できないようです。最初は軽い痛みから始まり、徐々に悪化してひどい時には夜寝られないとか、仕事や家事ができないなどの強い痛みに進行します。痛みが続く時期は長い方で数週間です。ただしほとんどの方は2,3週間だと我慢してしまうため、この段階で病院に来られる方は少なく、肩が上がらない、動かないなど症状が悪化してから来院される方が多いようです。
本当は初期の段階で治せば五十肩も悪化することはありません。しかし放置した場合は痛みが数週間から数ヶ月続き、その後痛みが収まった頃に関節が固まったような状態になって動かなくなります。この時期は痛みが逆に軽くなるため、患者さんは治ったような錯覚を起こしてしまいます。こうなると慢性期に入ってしまい、不自由さが残ってしまいます。
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一番良くないのは運動不足です。肩の関節は複雑な動きをするため、関節自体が不安定です。ですから周りの筋肉が十分強化されていないと関節の障害が起きやすくなります。
予防法で最も良いのはストレッチです。逆に筋トレのように関節に強い負荷をかける運動は腱板に傷を付ける可能性が高く、逆効果です。

普通は消炎鎮痛剤で痛みを抑え、痛みが強い場合はヒアルロン酸という関節を保護する薬を用い、さらに炎症を抑えるステロイド剤を少量関節内に注入したりすることによって劇的に良くなります。いずれにしても早期に治療したほうが結果は良いです。早期に来られた場合には、2・3週間で普通の生活に戻れます。半年や1年など慢性化してから来られた場合には、その期間と同じくらい治療にかかってしまいます。
五十肩の場合には手術治療はほとんどありません。

五十肩において症状が強く治りにくい方の中には糖尿病の方が多いです。これは、腱板に傷や炎症が起きた時にそれらを治す血中成分が血流障害によって十分に運ばれないため、修復する力が落ちるからです。ですから、糖尿の方は肩のストレッチを念入りに行ったほうが良いです。
五十肩と言っても、重労働をしたり激しいスポーツをしていたりする場合は20代の人でもなりますし、70〜80代の方でもなります。一般的な筋肉痛は1週間程度で治りますので、2週間以上続く頑固な痛みの場合には放置しないでなるべく早く専門医にかかられることをお勧めします。

20年近く肘の手術を行っていますが、道南には変形性肘関節症の患者さんは多いです。具体的には昆布漁やホタテの養殖をされている方、農作業をしている方、土木作業をしている方などで、仕事の負担で肘を長年酷使された方になりやすく、男性に多いです。
変形性肘関節症の症状ですが、関節の動きが悪くなり肘が伸びなく曲がらなくなります。健康な人は指先が肩に着きますが、これが着かなくなります。目安として指先が肩に着いていれば問題ありません。この角度が大体130°です。曲がり方が100°以下になると、顔が洗えない、歯が磨けない、箸が口元に届かないなどかなり日常生活が不自由になります。
もうひとつの症状は、関節の骨の変形により尺骨神経という神経が圧迫されて起こる神経麻痺です。尺骨神経は肘をぶつけた時にビリッと来る神経です。これが常時圧迫されると手の握力が落ち、指先のつまむ力が落ちます。こうなると箸を持てない、字が書けないなどの症状が出てきます。
多くの方は日常生活に支障をきたすようになって病院に来られますが、薬はほとんど効果がなく、リハビリも効きません。尺骨神経麻痺は進行性ですので本当は休めれば良いのですが、ほとんどの方が労働しておられますので仕事を休むことができず、結果的に手術治療になります。
曲がりのそれほど悪くない方は神経だけの手術です。尺骨神経を骨の当たる位置から少しずらし、影響が少ない部分に移動させるとしびれが取れます。ただし極端に動きの悪い方はそれでは動きは改善しませんので、変形した関節をできるだけ元の形に戻す関節形成術を行います。骨を削ったりしますので、1ヶ月程度の入院が必要です。私は函館に来て20年くらいになりますが、この手術は40例くらい手掛けています。

野球肘と言われますが、実際には野球に限らず手を使うあらゆるスポーツでなる可能性があります。子どもの骨の成長する部分は弱いため運動などの影響を受けやすく、年齢的には10歳から15歳くらいに起きやすい肘の障害です。野球ではピッチャーに
多いです。
大きく3つタイプがあります。ボールを投げる時に受ける圧迫力により、上腕骨の小頭の軟骨がつぶれて血行障害を起こすものが外側型。肘の内側で剥離骨折を起こすものが内側型。そして、肘の先端に起こる骨折が後方型。
症状で最初に気付くのは投げた時の痛みです。
さらに進行して骨が変形すると、腕が伸びなくなる曲がらなくなるという症状が出ます。ほとんどのお子さんを見ていると、試合に出たいとかレギュラーを外されるなどと思って我慢し、進行してから来られることが多いようです。ですから、指導者や親御さんは競技の成績だけを見るのでなく、子どもの身体の状況や痛いところはないかなどにも注意していただきたいです。成長期の骨はその時点で相当痛めて悪化してしまうと後遺症を残しますので、場合によっては競技生命が脅かされることもあります。
ほとんどの場合、原因は投げすぎです。5年生の場合は50球、6年生で60球以下を目安にしたほうが良いと思います。
早期に来ていただければ、少し休んで安静にしたり練習量を減らすだけで回復し、ほとんど手術にはなりません。心配な場合はMRIでの検査を行います。
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症状的には指先がしびれ、進行すると親指が動きにくくなり物が握れなくなります。原因は、手首の真ん中を通る神経が手首にあるじん帯によって圧迫されることです。女性のほうが神経の通り道が狭くて圧迫されやすく、患者さんの7,8割は女性です。昔は手で牛の乳搾りをしていた方、今は加工場で働いている方など、手の同じ動きを毎日繰り返し行っている方に多く見られます。年代的には40代から50代に多く見られます。
休めれば治りますがほとんどの方は仕事を休めませんので、結果的に手術になる方が多いです。手術では神経を圧迫しているじん帯を少し切除して圧迫を取り除きます。手術自体は入
院も必要なく、外来で10分か15分で済みます。1週間くらいで仕事にも戻れます。
特殊な例としては出産前後に発症する場合がありますが、この場合はほとんどホルモンバランスによって起きますので、自然に回復します。若い方で妊娠前後になった場合には様子を見るだけで良いです。
さらに注意する点としては、人工透析を10年以上しておられる方に発症しやすいことがわかっています。これはじん帯の中にアミロイド沈着というじん帯を硬くするような物質が増えるため、神経を圧迫するためです。これは治りにくいため、早期手術をしたほうが良いです。
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| 「整形外科においては五十肩や野球肘など通称が多い」と話す八木原先生。実際には50代でなくても五十肩になり、野球以外のスポーツでも野球肘になる。間違った安心感を持って違和感や痛みを放っておくと症状が悪化し、完治のためには費用も日数もかけなければならない結果になりかねない。「痛みは体からのサイン。何か原因があるはずなので、軽く考えずに早期診療を」と呼びかけている。 |
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| ●PROFILE |
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八木原 一英 氏 <八木原整形外科クリニック 院長>
Kazuhide Yagihara 1954.1.12生まれ
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■昭和56年3月 旭川医科大学 卒業
■昭和56年4月 旭川医科大学 整形外科入局
旭川医大病院 釧路市立病院 旭川市立病院などの整形外科に勤務
■昭和62年4月 稚内私立病院整形外科 医長
■平成元年4月 函館中央病院整形外科 医長
■平成6年11月 八木原整形外科 院長
◆所属学会:日本整形外科学会・日本肩関節学会/日本肘関節学会・日本手の外科学会
●専門医:日本整形外科学会 専門医/日本整形外科学会 リウマチ医/日本整形外科学会 スポーツ医/日本整形外科学会 脊椎脊髄病医/日本整形外科学会
運動器リハビリテーション医/厚生労働省認定 義肢装具判定医
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八木原整形外科クリニック
函館市美原1丁目14番12号 TEL 0138-45-5050 ■休診日 日曜・祝日 ■駐車場15台(当院前) |
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