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始まりは孤児や旅人を迎える場所でした。近代ホスピスでは「死にゆく人のケアをするところ」となり、さらに今では対象が「症状緩和が必要な人」とまで広がっています。このため、ケアそのものを「緩和ケア」、ケアする場所を「緩和ケア病棟」とする表現も多くなっています。
ホスピス/緩和ケア(以下「緩和ケア」と表記)にはいくつかの特徴があります。まず「全人的ケア」です。患者さんが感じる痛みは、身体的な痛み以外にも精神的・社会的な痛み、また厳しい病状の中「生きる意味を見失う」スピリチュアルな痛みなどさまざまです。これらを含めてケアするということです。
次に「チームケア」です。緩和ケアでは医師や看護師のほか、ソーシャルワーカーやボランティア、宗教家など多くの職種の人間が関わります。チームの厚みを作っていくことで、患者さんのそれまでの人生や色々な背景を深く理解し、より充実した全人的ケアができます。
もう一つの特徴は「家族ケア」です。緩和ケアでは患者さんだけではなくご家族も支えます。特に家族ケアは患者さんが亡くなられて終わりというのではなく、それ以降も「遺族ケア」として続きます。当院では、月に1度遺族ケアとして茶話会を開いています。亡くなった患者さんのご遺族どうしが集まって故人をしのぶ会ですが、生前のことを振り返るうちにご遺族がだんだん元気になっていきますし、それを見て他のご遺族も立ち直りを学べるんです。
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■福徳 雅章 院長
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緩和ケアはがんと診断された時から提供されるべきケアです。その目標は、患者さんが少しでも苦痛なく、自分らしく生活できるように支えることです。一般病棟では担当医や緩和ケアチームがその役割を担うこととなりますが、私たちのホスピス(緩和ケア病棟)ではより環境に配慮し、専門的スタッフが、ボランティアを含むより厚みのあるチームで緩和ケアを行うように努めています。当院の場合はどちらかと言えば、抗がん剤や放射線などの積極的治療ではこれ以上効果が期待できないという段階に入院されるとが多いかと思います。患者さん自身が病状について納得し、自らホスピスを選んで来られる場合もありますが、まだ担当医やご家族に勧められて来られる場合が多いように思います。
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木の香りがする、温かい雰囲気の環境を目指しました。病院らしくなく、家にいるような気持ちで過ごしていただければと思い、窓を大きくとって自然光を入れるようにしていますし、フローリングやドアの色、壁紙などはスタッフが相談して決めたものです。

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催し物の内容は、ほとんどスタッフが考えます。毎週ボランティアと一緒に行っている喫茶の時間には、ピアノやハープ、フルートなどを演奏したり、時にはカラオケショーやマジックショーなどもあります。8月1日にはウッドデッキから港祭りの花火を楽しむと同時に、工夫を凝らした出店を作り夏祭りを感じられる様なイベントも開いています。またプロ歌手を初めとするさまざまな方がボランティアとしてコンサートを開いて下さることも多く、患者さんやご家族からも喜ばれています。患者さんの誕生日や結婚記念日をお祝いしたり、看護師が休日に愛犬を連れてきて、犬の好きな患者さんのところに訪問したりもしています。
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こうすればよかった、ということは、言い尽くせないですね。スタッフみんなが、常にそう思っているのではないでしょうか。「あれはよかったなぁ」と自画自賛することはありません。逆に、これでよかったのだろうか、の繰り返しです。
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それは看護師さんに聞いてもらったほうがいいかもしれない(笑)。人手は、これで大丈夫という上限はないんです。緩和ケア病棟の基準では、概ね患者さん1.5人に対して看護師1人となっていますが、実際にはこれでは大変厳しいです。当院はそれよりも少し多い人員配置を目標としていますが、それでも不十分さを感じています。
でも、・・・がんばるしかないですね。限られた時間と人手の中で、一つ一つのことを、こなすのではなく、丁寧にケアする。そういう姿勢をもっていく。それが大事なのであって、どんなに忙しくても、気持ちがあればできると、私は思っています。
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まず対外的な課題として、緩和ケアの誤った理解をどう修正していくかです。未だに医療者の中にも偏見を持っている人もいます。まして一般の人はもっとで、緩和ケア病棟は何もしてくれない場所だと誤解されています。誤解をなくすためにも講演は依頼があれば基本的には引き受けるようにしていまして、こうした啓蒙活動を引き続きしていきたいと思います。
院内のことでは、スタッフのモチベーションをどう保つかです。緩和ケア病棟では残念ですがやはりほとんどの方が亡くなるので、支え続けていくことはなかなか困難です。スタッフのやりがいは結局スタッフ自身が見つけるしかないんですが、そこにどう導いていくか。今困っているというより、続けて考えてゆく課題ですね。

やはり、患者さんやご家族が喜んでくださったことや感謝の言葉を話されることが、関わりの中であるからですね。患者さんの笑顔だったり言葉だったり、そういうものから元気をいただいています。家族から「癒された」という言葉をいただくこともあります。意識のない方が入院されると、本人より家族ケアの方が中心になることがありますが、そのご家族から「安心して過ごせた」と言われると、この患者さんがここに来た意味があったと思えます。患者さんの中にも、メッセージを残してくれる人っているんですよね。今までの人生を語ってくれたり、奥さんにすごく感謝してるんだと話してくれたり。そういう話を聞いて、自分もそうしなくてはと思ったりして、私はそこからたくさんの人生を学べるんです。いろんなドラマの中にお邪魔している感じですね。
あとは、誰かがやらないといけない、という使命感ですね。体力が続く限りやろうという気持ちでいます。
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