アピアランスサロンと美容室で治療中の外見変化の不安を応援

株式会社Passage 久末 結佳 代表
美容室パサージュ 函館市石川町350番地21
アピアランスサロン 函館市田家町12番16号 TEL 0138-46-8023

カットやパーマ、おしゃれ用ウィッグなど通常の美容室のメニューに加えて、抗がん治療などで髪が抜けた時に使用する医療用ウィッグも取り扱ってきた美容室パサージュが、美容部とアピアランスの2事業を展開する(株)Passageを設立しました。美容部は石川町の美容室パサージュ (石川町350-21)、また治療による外見変化の不安を応援するアピアランスは、田家町のアピアランスサロン(田家町12-16)を主体に、悩みや疑問に無料で相談に応じています。(株)Passage代表でアピアランスを担当する久末結佳さんにサロン開設の思いをお聞きしました。


「メディカルページ函館・道南地区平成26年度改定版」に掲載された記事です。内容は掲載時のまま表記しています。

■久松結佳 代表

■久末結佳 代表

アピアランスの意味を教えてください。

アピアランスというのは外見という意味で、外見を整えることで患者様の治療効果やQOL(生活の質)を向上させることが目的です。

海外では、組織的な美容ケアの歴史があり、イギリスのカモフラージュメイクや、アメリカの企業支援のがん患者様の美容プログラムがあります。また、フランスでは、白衣のエステティシャンが病院内で活躍しています。日本でも、国立がん研究センター中央病院のアピアランス支援センター内で、企業が提供した多数のウィッグや化粧品が展示されています。外見を整えることで、治療や生活に積極的になり、回復を助けるという考え方です。

アピアランスということでは、以前から医療用ウィッグも手掛けていますね。

clm_passege_140825_03110年くらい前に顧客の方が、お店に医療用ウィッグをお買い求めにいらっしゃったのがきっかけです。私たちも医療用ウィッグの知識がなく、メーカーさんも扱いがなかったものですから、おしゃれ用の普通のウィッグをカットしておつくりしたんです。それから医療用ウィッグを勉強して、自然なもので品質もよく、価格的にもご負担のないものを追及して、現在は、オリジナルをベースに骨格に合わせてカットし、お作りしています。
石川店は、一般の方も来店されるので、プライバシーに配慮して個室を完備しています。田家町のサロン(写真右)は、治療や外科的手術で悩みをお持ちの方を対象とする専門的なサロンです。国内の企業様から、サンプルのご提供を頂いております。熟練の職人さんが、素材や、技術にこだわって作り上げた製品は、どれも美しく、使い心地も良いように工夫されています。ネット通販でも物が買える時代ですが、術後のパッドや下着は、実際に手にとって確かめ、試着できることが、とても重要だと思います。相談や試着は無料ですので、多くの方にご利用頂き、物選びの参考になればと思います。

ご相談の中心は医療用ウィッグですか。

ウィッグだけでなく、治療前後の髪の相談が増えています。頭部への放射線治療などでも、脱毛が起きてしまうことがあり、その場合は部分的なウィッグでケアが必要です。これまでも、石川店では、医療用ウィッグの製作だけでなく、化学療法等の治療前後の髪のご相談や施術も行ってきました。治療中後の髪の変化に悩む方は多く、ウィッグをはずして、いつもの生活に戻られるまでのサポートをしています。私達は、術後の知識を得るための勉強も欠かせませんし、ケアに使うシャンプー剤や、カラー剤などの研究も大切にしていますが、お世話になっている医療従事者の方々や、患者様からの情報も大変参考になっています。

毛髪技能士の資格もお持ちですね。

毛髪技能士は、育毛や毛髪に関して豊富な知識や技術を有していると認められた技能者です。今、相談に来られる方は、抗がん剤による副作用で髪が抜けた方だけでなく、脱毛症でお悩みの方もいらっしゃいます。脱毛症には生活や食べ物、ストレスが要因というケースが多いんです。 毛髪技能士として、田家町のサロンではお話を聞いて、その方が自覚していないストレスを見つけ出すことでもサポートさせて頂けたらと思います。

アピアランスサロンは相談が中心になるのでしょうか。

最初にご相談に来られる時は、治療を前に、ご自分がどう変化していくのか不安を抱えておられます。医療用ウィッグをつくると決めても、使ったことがない方がほとんどですから、その不安もある。外見に関する不安を抱えている方がとても多いんです。
ですからサロンは販売よりも知っていただくことに主眼を置きたいと思っています。髪がどうやって抜けていくかなど、知識として持っていなければ、不安ばかりが増大してしまいます。
治療でご自分の身体がどういうふうに変化していくのか、肌の乾燥や色素沈着、爪の変化の悩みもあります。眉毛なども抜けますから、そういうことを事前にご自身が知っておくと、治療に入る前の不安も少しは軽減されるのではないかと思うんです。サロンの目的はそういう知識を広めることにもあります。

治療を受ける方に美容面でのアドバイスをお願いします。

ご病気になっても、その方の価値が損なわれるわけではありません。
外見を整える、おしゃれを楽しむという、健康な人が普通に行っている美容行為を、ご病気になっても行うことに大きな意味があると思います。その中で、本来の自分を取り戻して頂けたらと思います。 髪を切るとスッキリした気分になったり、メイクをすると嬉しくなったりと、外見と心は繋がっています。その方が、その方らしく生活できるために、お悩みを理解し、解決の方法をご一緒に考え、ご提案させて頂けたらと思っています。

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■医療用ウィッグ(写真左)をカットして仕上げるのは、ウィッグの専門資格を持つ美容師の久末智光先生。利用する方の骨格や好みに合わせてカットします。田家町のアピアランスサロンでは、補正下着(写真右)などの試着や購入も可能です。

 

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■下着と乳がん用シルクパッド(写真左)。下着は乳がん用のほか、上質な28種類のレース(写真上)から自由に組み合わせて自分流にオーダーできます。日本製で北海道初登場です。
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■アピアランスサロン

(取材日:平成26年8月25日)

株式会社Passage代表 久末結佳 様 平成30年1月5日志半ばでご逝去されました。

 

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